「資金繰り」とは、企業が業務を継続していく上で必要な資金をどのように調達し、適切に管理していくかということを指します。
業界や企業の規模、業態によって異なる方法がありますが、ここでは一般的な「資金繰り」の意味や、必要性、方法について説明していきます。
また、「資金繰り表」の作成方法とその重要性についても合わせて説明します。
資金繰りとは?
企業経営においては、営業活動や生産活動を継続するために必要な資金があります。
しかし、売上が見込み通りでなかったり、支払い期日が重なったりすることによって、企業が抱える現金の不足は避けられません。
このような場合、資金繰りの適切な管理が必要となります。
具体的には、資金繰りとは、企業が必要な時期に必要なだけの現金を調達すること、または余剰な資金を適切に運用することを指します。
資金繰りの成功には、現金の収支を正確に把握することが重要であり、資金繰り計画に基づいて現金を調達する必要があります。
なぜ資金繰りが必要なのか?
資金繰りが必要な理由には、以下のようなものが挙げられます。
- 支払期日に現金が不足する可能性があるため。
- 資本を活用することにより、より大きな利益を得るため。
- 予期しない事態に備えて、備えあれば憂いなしという考え方から。
企業は、営業資金、設備資金、販売資金、経費資金など、様々な目的のために資金を必要とします。
これらの資金を、支払期日や必要に応じて、適切に調達することが、企業経営の持続的発展にとって重要となります。
資金繰りについて、一般的には「お金を工面する」「資金調達のために融資元を探し回る」といったように、どちらかといえばネガティブなイメージを持たれがちです。
また「資金繰りをしているから、会社の経営状態が悪いのだろう」と思われる場合も少なからずあります。
しかしこれは誤解なのです。
資金繰りは、会社の経営状態の良いときは手元資金や融資を受けた資金を有効に活用して投資を行うための重要な判断指針となりますし、経営状態が悪いときには決して支払いや返済が滞ることがないよう管理し対策を立案するための指針となります。
資金繰りの方法
資金繰りをより効果的に行うために次のような点に留意して進めていきます。
資金繰り計画の策定
企業は、予算や営業計画に基づいて、資金繰り計画を策定することが重要です。
この計画に基づき、必要な時期に必要なだけの資金を調達することができます。
現金を適切に管理することで、資金繰りを改善することができます。
現金の適切な管理
例えば、現金の収支を定期的に把握し、余剰な現金を適切に運用することで、資金繰りの改善につながります。
販売条件の見直し
販売条件を見直し、クレジットカード決済の導入や前払いにすることで、売掛金を減らすことができます。
このようにすることで、現金の流れを改善し、資金繰りを改善することができます。
キャッシュフロー管理の徹底
キャッシュフロー管理を徹底することで、将来的な資金繰りの見通しを立てることができます。
予算や営業計画をもとに、将来の現金の収支を予測し、必要な資金を事前に調達することで、資金繰りの改善につながります。
資金繰りが悪化する理由
資金繰りの悪化とは、企業が必要とする資金を調達することができず、支払いが滞ったり、債務不履行に陥ったりすることを指します。
資金繰りの悪化は、様々な原因によって引き起こされます。
例えば、販売不振による売上減少や、新規事業に伴う投資が予想以上に多くなった場合、長期債務の返済が重荷となった場合などが挙げられます。
資金繰りの悪化により、企業が支払い不能に陥った場合、その企業は倒産してしまう可能性があります。
また、支払いを滞らせたことにより、信用が低下し、金融機関からの融資や取引先からの信頼を失うことにつながるため、企業にとっては極めて深刻な問題となります。
資金繰りの悪化に対する対応方法
資金繰りの悪化に陥った場合、企業はどのような対応をするべきでしょうか。以下に、代表的な対応方法を紹介します。
財務状況の把握
まずは、財務状況を正確に把握することが重要です。
収支や資産・負債の状況を詳細に分析し、現在の資金繰りの状況を把握することで、どのような対策が必要かを判断することができます。
資金調達の検討
資金繰りの悪化には、資金不足が原因であることが多いため、資金調達の検討が必要です。
資金調達には、金融機関からの融資、株式や社債などの資本調達、売掛金や有価証券などの流動資産の売却、資産担保による融資、割賦販売などがあります。
また、資金調達の方法によっては、利息や配当金などの費用がかかるため、返済計画や収益性の分析なども重要になります。
費用の削減
資金繰りの悪化に対する対応策の一つとして、費用の削減が挙げられます。
例えば、人件費の削減、広告宣伝費の削減、固定資産の売却などが考えられます。
ただし、費用の削減によって事業の継続が困難になる場合もあるため、慎重に判断する必要があります。
売上アップのための施策
資金繰りの悪化の原因が売上減少である場合には、売上アップのための施策を行うことも重要です。
例えば、新商品の開発や既存商品の改良、マーケティング戦略の見直しなどが挙げられます。
また、海外市場への進出や業務提携など、新たなビジネスチャンスの開拓も重要な施策の一つとなります。
債務の見直し
長期的な債務が支払いの負担となっている場合には、債務の見直しを行うことも重要です。
例えば、金利の引き下げや返済期間の延長などが挙げられます。
また、保証会社による保証や、補償制度を活用することで、融資の取得がしやすくなる場合もあります。
経営陣の変更
経営陣の変更も、資金繰りの悪化に対する対応策の一つとして考えられます。
例えば、経営陣の意識改革や、経営陣の人事変更などが挙げられます。
経営陣が新しい方向性やビジョンを持ち、その実現に向けて組織を再編することで、業績の改善が期待できます。
外部の専門家のアドバイスを受ける
資金繰りの悪化に対する対応策として、外部の専門家のアドバイスを受けることも有効です。
例えば、ファイナンシャルアドバイザーに相談することで、企業の財務状況の分析や適切な資金調達方法の提案を受けることができます。
また、弁護士や会計士などの専門家に相談することで、法的な問題や会計上の問題を解決することができます。
経営者自身の見直し
最後に、資金繰りの悪化に対する対応策として、経営者自身の見直しも必要です。
例えば、業績不振の原因を明確にし、再度ビジョンや目標を設定することで、経営方針の再定義が必要です。
また、社員とのコミュニケーションの強化や、業務プロセスの見直しを行うことで、業務の効率化ができます。
さらに、経営者自身が業務に取り組む姿勢の改善や、自己啓発を行うことで、経営者自身の能力の向上が期待できます。
資金繰りをスムーズに行うためには?
企業経営において、資金繰りは非常に重要な要素です。
資金繰りがスムーズに行われることで、企業経営において重要な投資や支払いを実現することができます。
資金計画の策定
資金繰りをスムーズに行うためには、事前に資金計画を策定することが必要です。
資金計画を策定することで、必要な資金の調達方法や期間を把握することができます。
資金計画を策定する際には、将来の売上や支出を見据えた長期的な視点で策定することが重要です。
また、不測の事態に備え、十分な余裕をもった資金計画を策定することも重要です。
短期資金調達の準備
資金繰りをスムーズに行うためには、必要な時に必要な資金を調達できるようにしておくことが必要です。
特に、急な支払いに対応するためには、短期的な資金調達が必要となります。
短期資金調達の方法としては、銀行からの借り入れや債権ファクタリングなどがあります。
これらの方法を活用することで、急な支払いに対応します。
売掛金の回収管理
資金繰りをスムーズに行うためには、売掛金の回収管理が重要です。
売掛金は、受注した商品やサービスを納入した後に請求書を発行し、代金を回収するものです。
回収期間が長くなると、資金繰りに悪影響を与えることがあります。
そのため、回収期間を短くするための工夫が必要です。
具体的には、請求書の発行期間を早めたり、支払い期日を短くしたりすることが有効です。
在庫管理の最適化
在庫管理の最適化も、資金繰りをスムーズに行うために重要な要素の一つです。
在庫が多すぎると、余計な資金がかかってしまうため、適切な在庫レベルを設定することが必要です。
また、在庫を減らすためには、生産や調達のプロセスを見直したり、在庫回転率を上げるための施策を行うことが必要です。
経費削減
経費削減も、資金繰りをスムーズに行うために必要な要素です。
経費削減によって、余計な出費を減らし、必要な資金を確保することができます。
具体的な方法としては、人件費の削減やコスト削減の取り組みなどがあります。
ただし、必要な業務やサービスの質を損なわないように、削減するポイントを見極めることが重要です。
キャッシュフロー管理の徹底
キャッシュフロー管理の徹底も、資金繰りをスムーズに行うために必要な要素の一つです。
キャッシュフローは、現金の流れを管理するための指標です。
キャッシュフローを正確に把握することで、支払いの予定や調達の予定を立てることができます。
キャッシュフローの管理には、定期的な予実管理や、キャッシュフローの予測などが有効です。
資金繰り表を作成する重要性
企業経営において、資金繰りは重要な課題の一つであり、適切な資金繰りを行うことが企業の成長や継続的な発展に欠かせない要素となっています。
資金繰りの管理には、多くの企業が資金繰り表を作成し、適切な管理を行っています。
資金繰り表は、現金の受け入れや支払いの予定を記録し、現金の流れを管理するための表です。
資金繰り表を作成することで、現金の入出金状況を一目で把握することができます。
また、資金繰り表は、将来の現金の受け入れや支払いの予定も記録するため、将来のキャッシュフローの予測にも役立ちます。
資金繰りの把握
資金繰り表は、現金の受け入れや支払いの予定を記録し、現金の流れを管理するための表です。
資金繰り表を作成することで、現金の入出金状況を一目で把握することができます。
また、資金繰り表は、将来の現金の受け入れや支払いの予定も記録するため、将来のキャッシュフローの予測にも役立ちます。
資金繰りの管理
資金繰り表は、現金の受け入れや支払いの予定を記録するだけでなく、現金の状況に合わせて必要な支払いを調整するための管理ツールとしても利用されます。
例えば、資金繰りが悪化した場合には、支払いの先送りや、支払いの期限変更などの調整を行うことで、資金繰りを改善することができます。
資金調達の必要性の把握
資金繰り表を作成することで、将来の現金の流れを予測することができます。
将来の資金の不足が予想された場合には、資金調達の必要性が生じます。
資金繰り表によって、資金調達のタイミングや必要額を把握することができます。
予算管理
資金繰り表は、予算管理にも利用されます。
予算は、将来の収益や支出を予測した計画であり、現金の流れと密接に関連しています。
資金繰り表を作成することで、予算と実績の差異を把握することができます。
また、予算と実績の差異が生じた場合には、調整が必要な支払いを見直すことで、予算管理を改善することができます。
経営判断の支援
資金繰り表は、経営判断の支援にも役立ちます。
資金繰りが良好な場合には、資金余剰分を投資に回すことで、収益の増大を図ることができます。
一方、資金繰りが悪化している場合には、コスト削減や収益改善の施策を実施する必要があります。
資金繰り表を作成することで、現状の資金繰り状況を正確に把握し、適切な経営判断を行うことができます。
金融機関とのやりとり
資金繰り表は、金融機関とのやりとりにも活用されます。
資金繰り表を提示することで、現在の資金繰り状況や将来の資金需要を説明することができます。
また、資金繰り表によって、資金調達の必要性や借入金の返済計画など、金融機関にとって重要な情報を提供することができます。
これによって、金融機関との信頼関係を構築することができます。
以上のように、資金繰り表は、企業経営において重要な役割を果たしています。
資金繰り表を作成することで、現在の資金繰り状況や将来のキャッシュフローを正確に把握し、適切な経営判断を行うことができます。
また、金融機関とのやりとりにも役立ちます。
企業経営において、資金繰りを適切に管理するためには、資金繰り表の作成と適切な管理が必要不可欠です。
資金繰り表の種類と作り方
資金繰り表は、企業経営において重要な役割を果たすため、適切に作成する必要があります。
正確な情報を把握し、分析することで、将来の資金繰りを見通すことができ、資金繰りの改善策を考えることができます。
資金繰り表の種類
資金繰り表には、以下の2種類があります。
- 日次資金繰り表
- 月次資金繰り表
日次資金繰り表は、日々のキャッシュフローを把握するための表です。
受取や支払いが発生する日付と金額を明確に記載することで、日々の現金状況を把握することができます。
月次資金繰り表は、1か月単位で現金の収入と支出を記録し、将来の資金繰りを予測するための表です。
月次資金繰り表には、現金、預金、売掛金、未払金、短期借入金、長期借入金、支払予定日など、詳細な情報が含まれます。
月次資金繰り表は、日次資金繰り表の集計結果を反映するため、日次資金繰り表よりも大まかな情報が含まれます。
この他にも数か年での計画を作成する年次資金繰り表を作成する場合もあります。
資金繰り表の作り方
資金繰り表を作成するには、以下の手順を実施します。
①資金繰り表のフォーマットを作成する
Excelなどの表計算ソフトを使用して、資金繰り表のフォーマットを作成します。
フォーマットは、企業の業種や規模に合わせて、カスタマイズすることができます。
ただし、必ずしも複雑な表にする必要はなく、簡潔で分かりやすい表が作成できるようにすることが重要です。
②現在の資金繰り状況を把握する
日次資金繰り表を作成する場合には、現在の資金繰り状況を把握することが重要です。
現在の現金残高、未払いの請求書、未払いの請求書、未収入金などを洗い出し、日々の収入と支出を記録する必要があります。
③将来の収入・支出を予測する
月次資金繰り表を作成する場合には、将来の収入・支出を予測することが必要です。
具体的には、予定されている受注や請求書、支払予定日、売掛金、未払金、短期借入金、長期借入金などを明確に把握することが必要です。
また、将来の収入・支出をできるだけ正確に予測するためには、過去のデータを参考にすることも効果的です。
④収支差額を分析する
資金繰り表を作成したら、収支差額を分析することが必要です。
分析の目的は、現在の資金繰り状況や将来のキャッシュフローに関する課題を洗い出し、解決策を見つけることです。
収支差額がプラスであれば、現金の余裕があることを示し、マーケティング活動や事業拡大など、将来の投資に余裕があることを意味します。
一方、収支差額がマイナスであれば、現在のキャッシュフローが足りないことを示し、追加資金調達や経費削減などの対策が必要となります。
⑤改善策を検討する
収支差額の分析結果に基づいて、改善策を検討することが必要です。
具体的には、現金の受取期間を短縮するための売掛金の回収方法の見直し、支払期間を延長するなど、収入の前倒しや支出の後ろ倒しになるような改善策を考えることが重要です。
また、追加資金調達の必要性がある場合には、金融機関からの融資や資金調達のための株式の発行などを検討することが必要です。
資金繰り表の作成方法については、こちらの記事に詳しくまとめています。
資金繰り表の作成手順まとめ
資金繰りは、企業経営において重要な要素の一つの指標であり、企業の健全な成長や経営継続に必要不可欠です。
資金繰りの改善には、収入の増加やコスト削減による現金の増加、借入金の利用による調達、営業資金の適切な管理など、様々な方法があります。
また、資金繰り計画を策定し、現金の適切な管理、販売条件の見直し、キャッシュフロー管理の徹底など、企業の経営状況に合わせた方法を取り入れることが大切です。
さらに、経営者や担当者が資金繰りに対する意識を高め、経営全体で資金繰りの改善に取り組むことが必要です。
企業が健全に成長するためには、資金繰りが重要なファクターであることを忘れず、常に資金繰りの改善に努めることが必要です。
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資金繰りに関して
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- 資金繰り管理ツールの導入メリットとデメリット:中小企業が知るべき事実
- 資金繰り表の活用法: 黒字倒産を回避するための戦略
- 資金繰り表のマスターへの道:3つの形式を理解しよう
会社のお金の流れについて
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